どうも、声優派遣屋の矢吹です
7月20日掲載の
「第六回「ナレーション講座D」-強調したきゃ『スロー再生』-」では、極めてストレートなナレーションにおいて、文章中の特定の箇所を強調する手段として、
その箇所だけをゆっくり読む「スロー再生」を提案しました。
この極めてストレートなナレーションにおけるスピード調節に関するテクニックは、逆に
文章の中で特に重要ではない部分を速く読んでしまうことで、その部分をさらっと流してしまうということもできます。
そしてナレーションテクニックとしてもう一つ重要なのが「
間(ま)」です。
「間」は演技や朗読など、声に関する他の分野でも重要となるテクニックですし、更には映画やドラマ、舞台の演出の一環として編集者や演出家が物語・シーンの要所に「間」を取り入れることで前後のシーンや物語の意味を一層引き立てるのにも使われます。ナレーションを学習している私たちも彼らのように「演出者」であり「表現者」でもあるわけですから
「間」の使い方をマスターすることは必然です。
極めてストレートなナレーションにおける「間」の効果は以下の通りです。
@「間」を置いた前後の箇所を重要な部分として引き立てる。
A「間」の前後で文章の意味を切り替える。
B「間」を使って文章の調子や読み方の調子を整える。しかし矢吹の持論では特にこのBの効果を狙う時(場合に寄っては@も)、
とるべき間の時間は本当に「一瞬」な場合があります。音楽記号の休符に長さの違いがあるように、
間にもその長さの違いがあると考えてください。
例えば一瞬でない普通の間を、@の効果を狙って使うのはこんな時です。
「
ビッグバン、それは宇宙のはじまりを示す巨大な爆発です。」
この「ビッグバン」と「それは宇宙の〜」の間にある読点「、」の部分には、常識的な範囲でどれほど遅く読んだとしても、0.5秒以上くらいの間をとるのが一般的です。
しかし、同じような意味を表しているにもかかわらず、こんな文章になっていたらどうでしょう。
「
これが宇宙の始まりを示すビッグバンです。」
「〜示す」と「ビッグバン」の間には読点など、間としてワンテンポ置くような指示記号は特にありません。ですがこの文章を見たとき、おそらく皆さんは
「ビッグバン」が重要なワードで、強調して読みたいな、と思うのではないでしょうか。
先ほどの文章を読んだのと同じくらいのスピードで、かつ先ほど読点のところに入れた間と同じくらいの間を「〜示す」の後に入れて読んでみてください。なんだか「間」を取りすぎているような感覚に陥りませんか??
よくわからない、という人はレコーダーにナレーションを記録して再生してみましょう。
こんな時に活躍するのが「
一瞬の間」。間というよりは流れで文章そのものは読んでしまうのですが、「一瞬の間」をとるその「一瞬だけフッと止まる」という方が正しいでしょうか…。
感覚としては「
0.1秒の間をとるぞ」、くらいの気持ちでやってみてください。
一瞬だけ立ち止まってすぐに続きを読み始める、という感覚がわかるハズです。
と言っても分かりにくいという方もいると思います。
この例もまた近日中に参考動画を掲載したいと思います。
ひとまず、間の原理はこんなところでしょうか。
posted by Voice Closer 矢吹 at 20:53|
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