2014年11月30日

あなたのストレートナレーションはどんなストレートナレーション??

どうも、声優派遣屋の矢吹です

本ブログを訪問される方の中には「ストレートナレーション」の意味について調べている方が多くおられるようです。

本ブログではかつてナレーション講座において
極めてストレートなナレーション」と位置づけてナレーション講座を行ってきましたが、確かにそれは世間一般で言うところの「ストレートナレーション」であることに間違いはありません。

私が「極めてストレート」と言ったのは「ストレートナレーション」という枠組みにも人によって様々な解釈の仕方があるからです。

つまりそれはクライアント、オーディションや、審査員、講師などによって
同じ「ストレートナレーション」を要求されても実際に求められているスキルが異なる場合があることを示しています。

そこで自分の求められている「ストレートナレーション」とはどんな「ストレートナレーション」なのか考えてみましょう。


まずナレーションは大別して

ニュース読みや企業VP、アナウンスなどで求められることの多いいわゆる「ストレートナレーション」と、バラエティ番組やCM、ドキュメンタリーなどで求められることのおい「ポップなナレーション」の2つがあります。

どちらも同じ「ナレーション」という括りですから、
目的は相手に「内容を伝える」ことが主です。
そのためまず本番前までの練習でナレーションのベースを組み立てるときにはまず
→ナレーション講座で紹介したような下記の「ナレーションの原則」に従いましょう。

@抑揚をつけるのは禁止
A基本は頭高で適度に尻すぼみ
B間とスピードで調節する(唯一あなたが施せるアレンジ部分)


両者の違いは
ストレートナレーションほぼ「伝える」だけに重点をおいた硬いナレーション

ポップなナレーション…「伝える」にプラスして、例えばバラエティ番組であれば場を盛り上げるような「付加価値」が要求されるナレーション

だととらえてください。

田中真弓さんや中井和哉さん、大塚芳忠さん、若本規夫さんなど、楽しいナレーションを提供してくださる大御所の声優・ナレーターさんたちは「ポップなナレーション」を展開している場面が多いですが、あれは「独自の調子でテンション高く適当に喋っているだけ」などでは決してありません。こちらの記事でも紹介しているように「ストレートナレーション」という土台があってそこに「遊び」を取り入れたナレーションを行っています。

ですからまず「ストレートナレーション」の原稿を選ぶ・作る際には「バラエティやCM」などはやめましょう。あれらはナレーションの原稿にのっとった上でも「アレンジの幅が広く使える」ことを前提に、「遊び」を多く取り入れる前提で作られるため、ストレートナレーションからは大きく逸脱してしまいます。

ストレートナレーションの原稿のチョイスはまず「ストレートナレーションの域から出ない」ことが大前提(ポップなナレーションはほぼ求められていない)なので、「ニュース原稿やアナウンス、説明文」などを選べばまず間違いありません。これらを本ブログで紹介している「極めてストレートなナレーション」の方法論で実践すれば認められる可能性は非常に高いです。

しかし、ただ「かたく」、「まっすぐに」読むだけがストレートナレーションではありません。もしあなたがオーディションで「ストレートナレーションを求められている」ならば他の審査項目を見てください。またオーディションの主催者側が「どういった人材を欲しているか」考えてみてください。 ストレートナレーションはいわば「没個性」の項目で、「あなたという人となり」を見るには適していません。ストレートナレーションが審査項目にあるということはあなたの「基礎技術」を見ているのです。 そのため、オーディションに「自己PR」などあなたの個性を発揮する機会がない場合や、主催者が「楽しい人材や変人(語弊があるかもしれませんが…)」を探していた場合には、ただのストレートナレーションでは「つまらない」と認識されてしまう可能性もあります。

そんな可能性が少しでもある場合は「ポップなナレーション」の原稿を見てみましょう。基本的にはストレートナレーションに使えないものばかりですが、「環境」をテーマにしたCMやドキュメンタリー、お店を紹介しているテレビ番組内でのナレーション等、中には「ストレートナレーションに近い」、でも「ポップなナレーションほどじゃないにせよ遊び幅がある」ナレーションが存在します。 そういった原稿をチョイスし、8〜9割はストレートナレーションで、残りの1〜2割は「アレンジ・遊び」を取り入れることで「基礎技術面」とアレンジによるあなたという人間の「面白さ」両方がアピールできます。

しかし一方で事務所などの役員に多い、お歳を召されている方の中にはこうした少しの「遊び」をよく思わない方もいらっしゃいます。 審査員の特性などを完璧に把握することはできませんが、

「ストレートナレーション」の課題を渡された時に相手が言っていたことや課題文の内容、オーディションそのものや主催者、講師などの性格・特徴の分析etc…
これらを行うことで「どのストレートナレーションを選択するか」が見えてきます。
posted by Voice Closer 矢吹 at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ナレーション講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月21日

「第8回 英語の発音講座 -英語の「調子」A-」

どうも、声優派遣屋の矢吹です


英語らしい「調子」で発音し、英語っぽく相手に伝える方法を今回の講座では実践していきましょう。



まずは英語の各単語におけるアクセント(強勢)を意識してみてください。

たとえば ”baseball” ならbase-ballと単語を区分した後、「base」の方をより強く発音します。

この単語で誤って「ベィス『ボゥル』」と発音してしまう方は少ないとは思いますが、前回お伝えしたように日本人である私達は日本で生活しているうちに、基本的に「棒読みのセンス」を磨いています。棒読みマスターである私たちも英語を発音する時ばかりは「恥じらいを捨てて」、「強調するべきところは強調して」読む必要があるのです。


また、外来語や和製英語に慣れすぎている私たちは「英語の発音」と「日本語の発音」を混同してしまっている節があります。


私が中学生の頃アメリカへ行った時に、友人とホテルの中を散策している時に迷子になりました。そこでホテルの従業員と思わしき人たちに対して必死に「ウェアイズエレベーター」「ウェアイズエレベーター」と訊いていましたが一向に理解されませんでした。しばらくして私たちが「エレベーターの場所を聞いていた」ことを理解してくれましたが、この時相手が口にした ”Oh, elevator!!”

私たちは “Where is the elevator?” と訊いていた「つもり」でしたが”the”が抜けているとかそんな理由ではなく私たちの”elevator”の発音に問題がありました。日頃私たちは「エレベーター」という言葉を「エレ『ベー』ター」というように「ベー」の音が一番高くなるように発音します。しかし英語における”elevator”は最初の「e」、つまり「エレベーター」の「エ」の部分にアクセントがあります。


カタカナで表すと

私「ウェアイズエレ『ベー』ター??」
相手「エレベーター…?? オゥ、ユーセィ『エ』レベィタァ!!」

なんともマヌケな話です。


日本語のアクセントに準じて話している英語は「英語の域から逸脱している英語的な何か」になってしまいます。例えば「日本人英語」のような。

わからない単語や日本語にも似た言葉があるものは積極的にアクセントを調べましょう



もうひとつ意識することは「一文の中の調子を変化させること」です。

ちょうどアメリカに行った話をしましたので以下の様な例文を用いましょう。

I went to America to study English. [私は英語を勉強するためにアメリカに行きました。]

これを読むときあなたが伝えたいことが「アメリカに行った」ことなのか「英語を学びに行ったこと」なのか「あなたが行った」ことなのかなんなのかにもよりますが、おそらくこの文の中で”I”や”America”、”English”は強調される単語である可能性が高いです。こうした意味の上で最も重要な単語を優先度@とし「最も高く(大きく)発音する」ものとします。


次にこの文中で言えば”to”、他には”a”や”the”などの冠詞、”in”や”on”、”at”などの前置詞を優先度Bとし、「最も低く(小さく)発音する」ものとします。

そして残ったそれ以外を優先度Aとし、@とBの間の高さ(大きさ)で発音するものとします。

すると以下のように表すことができます。


英語強勢.png


このように単語の強勢だけでなく、一文の中にある単語同士にも優劣をつけて発音することで「波打つような英語のリズム」になり、英語らしく聞こえます。
posted by Voice Closer 矢吹 at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語の発音講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月08日

「第7回 英語の発音講座 -英語の「調子」@-」

どうも皆様、お久しぶりです、
声優派遣屋の矢吹です


今回は英語を英語らしく話すためのコツである「調子」についてお話しします。



数ある言語の中でも「日本語は特にお経のように一本調子だ」といったような話を聞いたことはありますでしょうか?? 以前、→ナレーション講座にて文を読むときの「調子」についてお話ししたのを覚えておられますでしょうか?? 



特にナレーションにおいては文章の途中で音が上がったり下がったりといったいわゆる「波」のような高低まじった喋り方はよしとされません。もちろん演技のとき、普段している日常会話のときなどはその限りでなく、「感情」によって強く言ったり弱く言ったり高く言ったり低く言ったりすることはありますが、それでも英語に比べれば日本語は限りなく「棒読み」に近い喋り方をする言語になります


それに対して英語は調子を横線で表すと波打つようなリズムを刻みながら発音されます


波打つようなリズムの例

英語の調子.png



英語を今現在習っている人も、昔学校で習った人も、

問1 次のうち最も強く発音する部分を記号で答えなさい。
ア イ ウ
pi-a-no


といった問題を解いたりした経験はありませんか?

また疑問文を声に出すときには文末は上り調子(右矢印2)で読みますが
what などの疑問詞がついた場合は下げ調子(下矢印2)で読むというように習ったのではないでしょうか。


数年前までの大学のセンター試験では、
英語の一文に含まれている単語のうち、実際に声に出し多時にはどの単語を一番強く発音するか選択する、といった問題も存在しました。


英語のリスニング教材を聴いたり、YouTubeなどで英語を母語としている人が喋っている動画などを一度見てみたりしてください。
きっと日本語の「極めてストレートなナレーション」の時には御法度とされていたような、上下に幅広く振れる独特の調子でしゃべっているものが多いと思います。

比較対象としては、日本語の朗読CDなどを聴いてみるとよいでしょう。
英語と日本語の「調子」の違いがわかるはずです。
もちろん日本語にもアクセントは存在していますし、上げ調子下げ調子なども存在しています。が、それ以上に英語の「調子」(強勢なども含む)は意識されやすく、「英語らしさ」を出すためには必要なものとなります。

具体的な方法についてはまた次回お話しします
ラベル:英語 声優 発音
posted by Voice Closer 矢吹 at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語の発音講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする