2016年02月25日

役者に人生経験が必要なのはなぜか??

若いうちから声優や俳優を目指し「私は高校や大学には進学しない。もっと早くから役者を目指して頑張って、絶対に夢を叶えるんだ。」という人がいます。
またそれに対して、「役者としての資質を磨くためにはそれだけを目指さないほうがいい。進学もそうだし、就職や恋愛などさまざまな人生経験が自分の演技のプラスになる。」というアドバイスをされる方もいます。

きっと早くからそういった職業を目指すことでプロに早く近づけると思うのでしょうし、現に若いうちからその才を発揮してガンガン活躍している人もいます。そしてある程度年齢を重ねてから目指しはじめた人の中にも「もっと早くから目指せばよかった」という思いを抱えている人が確かにいるはずです。ですから、早いうちから声優や俳優を目指していくのは選択肢の1つとしてなんら間違っているとは思いません。

ですが、そういった声優や俳優への道に「回り道」を勧める...先ほどのアドバイスをくれるような人の意見は、それはそれでまた一理あるのです。今日はその部分についてお話しします。


声優や俳優になるためには、鼻濁音や無声化などといったような基礎的なスキルはもちろん必要で、また役作りや演技の仕方にもある程度のロジックがあり、それが「演技論」として、先の基礎スキルとともに養成所などで皆さんに教えられることと思います。しかしそのいずれも、演技などをする上での「ベース(=基盤)」にしかなり得ません。もちろんそのベースがなければそれは評価以前の問題で、パフォーマンスとしてまず成立しません。

まず人から教えられる技術や演技論は、役者として「必須」のものだと思ってください。様々な本やホームページなどで紹介されていますから(声優派遣屋のブログでも基礎技術については取り扱っています)、受験勉強と同じく、できるならばそこは独学で習得してしまっても構わないと思います。 ただ受験勉強と同じく、習得までの時間は当然ながらその仕組みをわかっている専門家に教えてもらう方が早いですし、役者のパフォーマンスは「他者による評価」がすべての世界(自分ではこう思ってやった、は通用しない世界)なので、他己評価があったほうがすんなりいきますから、養成所にはチャンスをうかがいながら通って基礎技術を得るために通う、というのはよい方法です。

しかし独学でも養成所での指導でも、どこでも得られないものがあります。(講師も誰も正解を教えてくれません。というか正解を誰も知りません。もし講師がそれをもっていればその人がそれを得た方法くらいは教えてくれるかもしれませんが...。)

それが自分の社会経験です。子どもの頃どう過ごしてきたか、大人はどう見えたか、友だちとどう遊んだか、何を話したか、学校ではどうしてきたかなど、ここくらいまでは役者を目指し始める年齢には自然と経験しているでしょうが、その先にも様々な経験が待っています。進学先や就職先をはじめとした色々なコミュニティでの人との出会い、関係、そこでの生活、そこで感じた気持ち、そのすべては経験してみないとわかりません。失恋を経験したことのない人が愛する人を失った悲しみを表現しても、働いたことのない学生が仕事のやりがい・大変さを表現しても、それは全部「上辺だけ」の表現になります。 等身大のリアリティに勝るものはありません。 私たちが様々な作品を見て感動したり いろいろな気持ちを抱くのは、基本的に殆どが憧れや共感によるものです。 憧れたり共感したりする演技表現は、その経験をしてきた人にしか本物として表せません。もちろんすべての表現に関する出来事を経験することはできませんし、SF世界での出来事は「想像する」しかありません。しかしその「想像」をよりリアルに近いものにする材料がみなさんの「経験」です。いろいろな経験をして多くの引き出しをもっていることで、近い表現や感情を出しやすくなります。それが「限りなくリアルに近い」形として表れます。 すべての経験が今後の演技表現に生きるかどうかはわかりません。役に立たないものもあるかもしれませんが、それはあくまで「結果論」でしかありません。「必ずプラスになるからやってみろ」と言われた経験がある人は、きっとこういった意味を含んで言われたことだと思います。

また「真似」について。モノマネを生業としている人もいるほどに、「真似」は高等な技術です。真似する相手の仕草や話し方の特徴、そういうものをできるかぎり正確に捉えていなければ真似にも「リアルさ」は生まれません。プロの役者の真似ができるということはその役者の技法を身につけることに繋がります。それは「演技論」を「真似」を通して学ぶ大切な手段です。 「所詮それはただの声真似だ」という人の言葉は、あなたがもし「演技論」を学んでいる最中であれば無視して構いません。真似することによって表現の方法をもっと学んでください。 最終的には「自分の経験をプラス」しないと役者のパフォーマンスとして成立はしませんので、それでも「経験」は必要ですよ。

新年度が始まるまであと1ヶ月ほどですね。

頑なに、人からすすめられた道を拒み続けている人がいたら、もちろん言うとおりにする必要はありませんが、「どうしてその道(まわり道)をすすめるのか」を一度考えてみてください。

これを読んだあなたはきっと既に、狭い世界に閉じこもらず、広い世界で物事を見ようという「心構え」ができていると思います。目指す道に一歩でも早く近づきたいのもわかります。そして実際にそうするのも選択肢の一つです。 ただ、「回り道」にも意味があることをを少しでも知ってもらえたらと思います。

声優派遣屋.com スタッフ一同


posted by Voice Closer 矢吹 at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 役者スキル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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